320144 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

PKゲストハウスの娘さんに逢う!

               ≪九月二日≫      ―爾―

  ”P・K、Guest House”と書かれたゲートをくぐって行くと、広場の正面に二階建ての白いハウスがあり、左手に木製の古い二階建ての建物、右手には家族用の建物がある。
 バンコックの安宿より、小奇麗な建物だったので一安心。

    俺「コンニチワ!」
    娘「ハーイ!」
 素朴で可愛い娘さんが出てきた。
 ここの娘だろうか、それともここに雇われている娘さんだろうか。
    俺「泊めてもらいたいんですけど、空いてますか?」
    娘「ええ!どうぞ!名前は?」
    俺「ヒガシカワ!と言います。」
    娘「ヒガシカワ!いい名前ですね。」
    俺「あなたの名前は?」
    娘「デーンと言います。」
    俺「デーンさん、いい名前ですね。」
    娘「ヨロシク、オネガイ、シマス!」
    俺「あっ・・・ハイ!」

 英語が通じた。

  娘さんは素晴らしい英語で説明を始めた。 
    娘さん「この正面の白い建物では、ダブルベッドの置かれている部屋が一人40バーツ(≒600円)、ツインベッドが置かれている部屋が二人でも一人でも50バーツ(≒750円)です。そして、あっちにある木製のハウスは一部屋、シングルで25バーツ(≒375円)です。OK?」

  俺は、娘さんの可愛さに見とれていて、慌ててOK!OK!と言ってしまった。
    娘さん「OKOK!って、何処にしますか?」
    俺  「あっ、そうか。正面の白い建物のツインで。」
    娘さん「2階の左から二つ目のダブルベッドの部屋が空いていますけど。」
    俺  「すいません、そこで良いです!」
    娘さん「解りました!用意しますので、下でちょっと待っててください。」
    俺  「ハイ!」

  朝、早かったがここに泊まっているのか、二、三人の毛唐と顔を合わし挨拶をした。
 ここは旅行客ばかりだと言っている。
 娘さんは今、起きたばかりなのか、なぜかパジャマ姿。

    娘さん「いいですよ!上がってきてください。」
    俺  「は~~~い!」
 部屋に入ると、二つに分かれていて、奥にトイレとシャワーがある。
 入った所には、ダブル・ベッドと丸いテーブル、そしてイスが一つに壊れた?扇風機が一台。
 入り口のドアはアメリカ式なのか、二重の扉になっている。
 虫が入らないようにという事らしい。

  ベッドに腰を降ろして、荷物を出していると、パジャマから着替えた娘さんが、毛布と枕をもって入ってきた。
 ベッドを作りながら声をかけてきた。
    娘さん「何処から来ましたか?」
 もちろん英語で。
    俺  「日本です。」
    娘さん「グッド!私も日本に行って見たいです。でも、無理ね、バンコックでさえ行けるかどうかわからないのにね。」
 顔が笑っている。
    娘さん「朝食はどうしますか?」
    俺  「食べたいけど、何がありますか?」
    娘さん「コーヒーとパンならありますよ。それに、エッグも・・・・用意してきますから、後で下へ下りて来てください。」
 ベッドを作り終えると、そういって部屋を出て行った。

  俺は、もうベッドに身を沈めて眠ってしまった。
 バスの中では、十分な睡眠が取れていなかったのか、疲れからなのか、死んだように眠っていたようだ。
 娘さんの声が夢の中で聞こえてきた。
    娘さん「出来たよ!」
    俺  「は~い、今下りて行きます。」

  コーヒーにパン(2バーツ≒30円)の朝食とりながら、外に出されたテーブルに肘をついて、堀の見える通りを眺めている。
 今入ってきたゲートの外は、狭い道路と堀端に植えられた緑濃い木が見えている。
 そこを、ひっきりなしに車とか輪タクが通り過ぎて行く。

  朝の八時半ともなると、日が射し始めて早朝の冷気が嘘のように暑くなる。
 娘さんの妹だろうか、小さな二人が顔を見せる。
 五歳と十二歳くらいだろうか。
 笑顔を見せると、ニッコリと笑い返してくれる。
 まだ、頭がボー!っとしているようで、朝食を済ませると部屋に戻り、鍵を閉めて鎧戸も閉め、部屋を暗くしてベッドに倒れこんだ。
 この一瞬の気持ちよさは、なんとも言えない。

  夢の中へ!


© Rakuten Group, Inc.